何時まで続くドライマーケット 2007年10月掲載
    天井知らずで、終わりが無い様に見えるドライマーケットの高騰が何時まで継続するのかが、海運の重要な関心事である。 従って、一番多い質問となっている。 今回は海運5月号の記事と対比させながら整理し予測をして見ることとする。
   
(一) 今回の中国特需によるドライブーム到来後、当初に予想した内容

1) 今年の海運5月号の予想の基本となった船腹需給がタイトな状況では、高運賃の期間は最長4.5年である。 この場合来年春迄となる。 この根拠はやや乱暴な嫌いはあるが、ロンドンの有力ブローカーの過去100年のデータでは海運市況のone cycleは5〜8年と言っている。 5年は船腹需給がタイトでない時であり、8年はタイトな時である。 マーケット低落による調整期間を3.5年必要であるとの見方に立っての4.5年である。
2)
オリンピック特需による開催国の景気は、開催の半年前に終わるのが通常であり、北京オリンピック開催の半年前が来年春となる事

以上により2008年春迄は高運賃享受出来そうであると2007年4月8日に申し述べた。
   
(二) 来年春よりも伸びる可能性の理
1) 語り尽くされている2010年に上海万博を控えている事と13億の人口と国土の広大さで、投資対象が巨大である事。
2) インフラ投資が各省の実績追求競争の下になされている事。
3) 清王朝末期から1978年の「改革開放路線」導入迄、インフラへの公共投資が休止状態であった事に対する反動である。 換言すれば、産業革命を通過せずに共産主義社会となった事に伴うインフラ整備の遅れに対する反動である。
4) 外貨不足や極端なインフレが無く、経済引締め政策の必然性が希薄であった。
   
(三) 何時まで続くのか − 2010年迄?
1) オリンピックほどのインパクトは無いと思うが、特需が終わる上海万博開催の半年前。
2) 豪州炭の積出港の改修が10年には終了する事。
3) CapeBC(+100)の新造発注残は下記の通り As per July Drewry (Nos)& 1,000MT。
2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 合計と既存船
との比率
(32) 6,129 (53)10,135 (79) 15,496 (149)27,787 (74)13,657 (380) 70,991 56.5%
2010年の149隻に加え30隻以上と言われるVLCCの改装船もあり、市場での消化は困難と思われる。 
尚、9月14日付けSSYの発注残は(428)79,900 63.3% (79.9/126.3)と増加中。以上の理由から来年春まで半年残っているが、2010年春迄は高運賃享受出来そうである。
   
(四) 重要性なのは変化を呼ぶ要因の分析

経済市況も海運市況も生き物であり、環境により大きく翻弄され変化して行く。即ち、経済的要因や予測困難な政治や気象などの経済外的要因に左右されて、現在の高騰中のマーケットの継続が長くなったり短くなったりする。 現在考えられるのは次の要因であり、これらの要因の推移を注意深く見守る必要がある。
1) ドライマーケットを左右している粗鋼生産に直接影響を及ぼす鋼材とスクラップの価格動向である。 何れも変化の前兆として重要である。
2) 金融緩和策で根本解決とはならないサブプライムローンが世界的な金融不安を齎す事となるのか否かである。 97年のアジアの金融危機はその後の3年間の原油価格とタンカー(オイルショック後遺症から脱却の気配が生まれていた)の低迷を齎した。 新たな金融危機が発生は同様な低迷を齎す可能性がある。 タンカーからコンテナ船、最後にドライまで波及す事となる。
3) 原油価格の高騰である。 省エネの進展で需要の伸率の低下でタンカーマーケットが低迷している。今回はバイオエネルギーへの需要が高まり、食料の値上がりが新た懸念材料となっている。即ち、エネルギーと食料からインフレが忍び寄って来ている。
4) 最後に予測困難な事件の発生危険増である。 4/5年以上も高運賃が継続すると「歪」が発生しそれが市況を低落させる。 日本の高度成長は最終的にはオイルショックと円高を招来させ「歪」の解消へ向った。
   

 

 

月とスッポンとなったドライとタンカーの海運市況 2007年9月掲載
    原油高はタンカーにはマイナスでドライにはプラス要因となる。 その主な理由は高価格となった石油の代替としての燃料一般炭の需要が強まるからである。 これを証明するかの様にドライは5月のケープに続き6月パナマックスが史上最高値を更新し、それを維持している。 一方、タンカーは8月上旬の時点ではWS50前後に低迷しており、回復は需要期を迎える第4四半期迄ずれ込むとの見方が広がっている。今回は首題の格差が生まれた背景をオイルショック時(前回)とも対比しながら取り纏める事とする。
   
(一) 中国の影響度の差異 ― 市況の格差の最大の理由

1)  
中国の鉄鉱石と原油の輸入量推移は下記の通り ( 単位100万トン)
  2002年 2003年 2004年 2005年 2006年
鉄鉱石
111 (100%) 148 (133%) 208 (187%) 275 (248%) 326 (321%)
原 油 69 (100%) 91 (132%) 123 (178%) 127 (184%) 145 (210%)
06年の日本の鉄鉱石輸入は134で中国の半分以下、原油は日本より約1億トン少ない。 タンカーはドライに比べ中国の恩恵を充分には受けてない事を意味する。
2)
一般炭の需要増
前回は日本向けの電力用一般炭への新規需要と積出港の能力不足で船混を発生させドライ市況を上昇させたが、今回も一般炭の全体的な荷動き増と経済成長が著しい印度の輸入増、中国の国内消費増に伴う輸出減で遠距離からの代替輸入による船腹需要増と極端な積荷能力不足等で前回より強い影響を与えている。 6月初めに昨年の旱魃の反動と思える豪州の豪雨で石炭の積出港で不可抗力が宣言され、ニューキャッスル港では一時28日の滞船を余儀なくされた。 この影響でパナマックスが史上最高値を記録した。 同時に、豪州炭のスポット価格が$70を超えた。これらは原料不足の危機感が商品と海運市況両方を押し上げる典型的な例である。 又、7月9日の中越沖地震による原発の休止も新たな懸念材料となっている。
3)
現象から見た船腹需給面の差異
天候の面から見ても船腹需給面で大きな格差がある。 ドライに関しては2月にサイクロンが西豪州の鉄鉱石積出し港を襲った時、ケープを中心に暴騰。 6月の豪雨での豪州炭の混乱は前述の通りである。 一方、タンカーはホルムズ海峡がサイクロンで二日間通峡不能となっても、7月末と8月初めに台風が日本に上陸しても(中国と韓国向けに影響が無かった為もあるが)タンカー市場は無反応であった。即ち、船舶の遅れに対して代船の手当ての必要が無い需給状況である事を表している。 但し、カリブ海のハリケーンは依然とした懸念材料として残っている。
10隻を越えたと言われているSH(シングルハル)-VLCCを鉱石船への改装計画が目立っている。 SH-VLCCの市場からの排除期限が迫っている為もあるが、タンカーとドライのファンダメンタルの差を際立たせている。要が無い需給状況である事を表している。 但し、カリブ海のハリケーンは依然とした懸念材料として残っている。
リセールに関しても、VLCCよりもケープが活況で本年受取の170,000dwtが1.15億ドルの成約が見られ、VLCCの価格と見紛う程の価格で成約さ。
6月末の発注残と既存船との比率に就いては、ケープが360隻49.2%、VLCCが161隻32.9%と大きな差となっている。但し、上記の改装船は含まれていない。
4)
結びに替えてー 今回の特徴
前回のオイルショックとの違いは
◎ 船腹需給がタイトな船種ほど早く上昇しその期間も長くなる。 現在のドライとタンカーの格差がその好例であろう。 そしてこの収益性の平均化は発注船増、改装、発注済み船の船種変更とスクラップ増で調整される。 今回の第一の特徴は新造船発注増の他にSH-VLCCのバルカーへの改装が多い事である。ケープの山を幾分短くしタンカーの回復を早める事となるかもしれない。

◎ 第二の特徴は、産油国向けのインフラ整備用のセメントと鋼材の荷動きが、今回は殆ど無い事である。代わりに産油国へ吸引されたオイルドラーが、ロンドン経由米国へ流入し世界的な過剰流動性の一因となっていると言われている。
懸念材料は原油価格の動向である。8月早々WTIが$78.77と最高値を更新した。 オイルショック再発の危険性は少ないと思われるが、更なる上昇は前回と類似の不景気の再来を齎すかもしれないからである。
   

 

 

風が吹けば桶屋が大儲けする事態となった海運市況 2007年7月掲載
    5月中国揚げケープサイズの鉄鉱石の運賃が$55/MT大台を超え、170,000dwtのケープサイズバルカーのリセールが1億1,500万ドルとVLCCと見紛う船価で成約された。 2002年迄の中国の本格的な特需前は、長期間低迷時期でブラジル/日本の鉄鉱石の運賃はCOAで$9/MT、新造船価が5,000万ドルを切った価格であった。 従って、今回の暴騰は同じ海運市況とは思えない感がする。 今回はこの背景に就いて取り纏める事とする。
   
(一) 儲かるのが当然の理由 − ファンダメンタル面

1) 3月と4月の中国の粗鋼生産量が4,000万トンの大台を越えた。 1−4月の累計で1億4,574万トンと年率換算では4億6,400万トンとなる。 昨年比4,500万トン増、日本の粗鋼の4倍強となる。 それを裏付ける様に市況に最も影響を与える鉄鉱石の今年1Q(1-3月)の輸入量が23.4%増の1億トン強となり、年率換算では4億トンを超える数量となった。 昨年の3億2,630万トンより年間で7,500万トン強の増となる。
2)
2) 昨年4,300万トンを記録した中国鋼材輸出(半製品を除く)が増加傾向を継続している。 1-3月の累計が1,410万トン、年率では5,650万トン(31.4%増)となる。 輸出先は欧米減、アジアのベトナム、韓国、タイ等が増加し貿易摩擦を回避する状態となっている。 目下の所、輸出鈍化に伴う粗鋼増産傾向の鈍化は見られない。
3)
造船向けやパイプ用の厚板は当然として、それ以外の建設資材の価格も上昇傾向を示している。 2Q(4−6月)のアジア向け線材商談が20〜30ドル値上げされたと報じられている。 値下がり傾向を示している鋼材を見出すのは目下困難な状況である。
   
(二) 大儲けの理由
1) 【船腹需給がタイトから来る投機的現象】
他の投機的な商品価格と同様、需給がタイトなでは些細なニュースで運賃が敏感に上昇する傾向を示している。 例えば、印度の鉄鉱石の輸出税が僅か(運賃比較)$7の輸出税でマーケットは暴騰する。 余談ながら、それは恰もヘッジファンドが海運市況を牛耳っている如く、FFA主導の海運市況の如く、又、新興の数社の船社による市況操作の如く見えるが、何れも不可能であると見るべきである。
2) 【高収益と過剰流動性から来る相乗効果的現象】
他産業よりも高収益の海運への投資が海運以外からも殺到する。 新造船の発注増、中古船の売買や建造中の船舶の売船(リセール)が活況を呈し船価を急騰させる。
株を上場して資金を集め、船舶を購入する企業が現れた。 又、ヘッジファンドが船舶を購入していることも散見されるようになった。
3) 【海運企業の変化】
スポット市況を下げる貨物待ちに対する恐れが薄れ安値成約が出難くなっている。
輸送量が急増に伴い積揚港の港湾設備の能力不足が顕在化している。 船舶の回転率の悪化・その穴埋めのスポット傭船増・バンカー価格上昇による採算悪化でCOAを回避する動きが強まっている。 これは期間傭船を避けスポット配船増となり、市況が激しく変動することとなる。 現状では高収益を齎している。
l COAがマーケット低落時の危機回避手段でなくなれば、 T/C-outとなるが、運航船主に好まれない故、FFAでのヘッジの方へ移行する事となるかもしれない。
 
   
(三) 結びに替えて − 要注意事項
1) 過剰流動性の元凶は中国人民元の低価維持策と円キャリトレードの拡大である。 特に、「外貨準備高がGDPの2/5、1兆2,000億ドルと世界一」となりながら、通貨切り上げの抜本的な貿易不均衡是正策が講じられない事である。 市場の流れを無視した人為的な規制策は世界経済を揺るがす様な大事件を惹き起こしかねない。  
それはバブルが弾けての不況か過剰生産に伴う恐慌的な不況なのか?それとも社会主義的計画経済が効を発揮してソフトランディングが可能となるか?である。
2) 価格(運賃)水準が高くなり過ぎると、高所恐怖で些細のニュースで暴落する危険性が増えることとなる。
3) 中国の増産は「生産過剰な状態で中国の市場価格が常に崩れることが懸念」があるが、具体的には中国の鋼材需要に支えられている現在の海運市況が上海万博まで継続するのか、オリンピック開催の半年前で小休止するのかが問われている。
4) 新規投資の容易さが結果として過剰船舶となり、海運市況の長期低迷を齎す危険性がある、山高ければ谷深しである。 記憶して置くべきである。
   

 

 

暴騰した2007年第一四半期のドライ市況に就いて 2007年5月掲載
    ケープ市況が3月下旬Atlantic/EastのTrip T/Cで$125,000dailyと2004年の記録を更新し暴騰した。 2004年をピークに平均運賃と最高値が徐々に低下するという通常のパターンから外れた予想外の現象である。今回はその背景に就いて整理することとする。
   
(一) 新聞記事から

1) 金属泥棒事件の頻発 ― 高圧電線・ガードレール・スクラップ・古くからある火の見やぐらの鐘楼まで含めた泥棒の頻発が報じられた。 これは中国特需の結果であり、その継続を意味するものと言える。即ち、中国の高度成長の翳りが見えず、粗鋼増産・鉄鉱石輸入増・海上荷動増・海運市況堅調継続の証しであると言えそうである。
2)
エルニーニョの終焉とラニーニャへの急展開 − 今回はペルー沖の海水温度が1月は0.8度平均を上回っていたのが例のない速さで低下し、2月にはエルニーニョを解消させ4月にはラニーニャとなると報じられた。 日本では1月迄続いたエルニーニョで降雪量が少なく水力発電の減少を齎している。 エルニーニョ解消に呼応するかの様に旱魃だったインドネシアで2月に洪水が発生した。 これらの海運への影響はインドネシア炭の輸出減と日本の一般炭の輸入増を齎し、代替の豪州炭の積出港の船混を増加させた。 更に、秋が到来した南半球ではラニーニャによるのかサイクロンが多発し西豪州の鉄鉱石の積出港や南ア炭の積出港Rechard Bayの閉鎖を齎した。
   
(二) ファンダメンタルから
1) 最大要因は中国による鉄鉱石の輸入増 − 昨年の鉄鉱石の輸入量は前年比5,000万トン増の3億2,600万トンで予想があったが、今年はそれより低目の予想が多かった。 処が、1・2月の累計を年率で換算すると、約20%、6,400万トン増の3億9,000万トンと量・率共に前年を上回ることとなった。 3/4月(滞船により一ヶ月延長された模様)も年度末の駆け込みもあり、この増加傾向に変化ないものと予想される。
2) 第2は豪州での滞船が深刻化 − 4月上旬現在、ケープサイズがこの船型の約20%、推測ながらフリー船の2/3以上となると思われる約150隻が豪州で滞船していると言われている。 その原因は、(イ)Category4のサイクロンGeorge等が3連続で西豪州の鉄鉱石積出港を直撃した。亜熱帯特有の動きの遅さで3月に4/5日間程度閉鎖された。 (ロ)前述の様に日本のエルニーニョの後遺症で降雪が少ないことに伴う一般炭の輸入増や印度・中国の石炭輸入増で豪州炭の積出港の滞船が深刻化した。 これらによる滞船増が船腹供給不足感を強め、市況暴騰の大きな要因の一となった。
3) 印度が3月1日より$7.00(Rs300)/MTの輸出税を賦課したことであり、報復的に、印度鉄鉱石を年間1,000万トン輸入し中国第2位の輸入を持つSinosteelが、100社の鉱石輸入業者(パナマックス以下の船型で輸入している)と打ち合わせの上、印度からの輸入を停止した事である。 因みに今年1月の印度鉱石の中国の輸入量は690万トンと大きな量である。 全量ブラジル鉱石への代替は物理的に不可能であり、価格競争面でもありえないが、心理面の影響は大であった。
   
(三) 今後の見方
1) 海運市況の暴騰の原因は、計画を上回る原料需要の急増による確保不安である。 今回は積地船混に伴う原料の消費地到着遅延に伴う2回目の原料確保不安である。 この船混み解消に就いては、鉄鉱石は夏場には解消を予想する意見もある。 石炭に就いては、一般炭は夏場の需要減と降雪不足の後遺症の終焉とで幾分解消される事が予想される。 但し、港湾設備改善計画を見る限りに於いては、根本的な解決には2010年説が有力となりつつある。 然しながら、最も緊急に効果があるのは需要減である。
2) 5・6月の鉱石輸入量の推移が注目される。半製品を含めた鋼材の輸出が14年ぶりに出超となった05年の2,760万トンから06年は約5,300万トンと急増したが、鋼材輸出を含む貿易摩擦激化でこの水準の維持が可能か疑問である。 そして世界経済の不安(米国の住宅価格の下落、それを含めたバブルの元凶の中国の元安の為替政策と日本の円安・低金利策の継続)が払拭できないなどからして粗鋼増産を伴っている1・2月の鉄鉱石輸入増の水準を維持するとは考え事には抵抗がある。 但し、経済の不況から海運市況軟化には3〜6ヶ月の時間差があることを今回も考慮すべきである。
3) 西豪州のサイクロンに端を発したと思われるラニーニャが、カリブ海のハリケーンと台風の多発を齎す可能性があり、中国・韓国・日本向けの船舶の回転率の低下させることとなりそうで、これも今年の市況にはプラス要因として現れそうである。
4) 結論としては、上がり過ぎの現水準は無理としても、後1年程度は高運賃享受出来そうである。
   

 

 

鉄鉱石を取り巻く環境 2007年3月掲載
    中国による鉄鉱石の輸入増がドライマーケットを史上最高に暴騰させた要因である事は広く認知されている。 このことは現在の鉄鉱石を取り巻く環境の分析が今後のドライ市況を占う意味で重要な課題となる。 今回はこの研究課題を整理し説明を加える事とする。
   
(一) 過去5年の中国の鉄鉱石の輸入量の推移 
(1,000MT)
  2002年 2003年 2004年 2005年 2006年
輸入量
111,494 148,194 208,076 275,260 326,000
対前年増量 19,184 36,700 59,881 67,184 50,740
増量の% +20.8% +32.9% +40.4% +32.3% +18.4%

1) 増加率では2004年、増加量では2005年がピークであった。
2)
2006年も高運賃を維持できた理由は、伸率は過去5年で最低となっても増加量が5,000万トンを超えた事によると思われる。
3)
今後を占う為、2007年の輸入量が注目される。 輸入量予想の下限である3,000万トン(+9.2%)からどの程度上積みされるのかが判断の分岐点となる。
   
(二) 印度による鉄鉱石の輸出規制
1) 印度鉄鉱石の輸出規制は代替ソースとして遠距離のブラジル鉱石の比重が高まる事が予想される。 従って、その規制の数量が大きな意味を持つ事となる。 因みに、2006年の印度の鉄鉱石の輸出量は8,600万トン、粗鋼生産量は中国の1割の4,200万トンに過ぎない。 
輸出を抑えるほど自国の粗鋼の増産意欲が高いのか、ケープサイズに影響が出るほど規制されるのか、否定的ながら、無視できない注目点ではある。
   
(三) 積能力不足に伴う船混状況
1) オイルショック後、一般炭が海上輸送に登場して石炭積出港の能力不足で長期滞船を齎したが、それ以来の中国の鉄鉱石の輸入急増により鉄鉱石積出港の能力不足で船混となった。 予想を超えて輸出量が急増したとは言え、船混はブームから3年程度経過すると港湾設備の拡張(手元にデータが無く追って調査予定)により緩和され、それによる市況への影響度は時間とともに薄まる。 今年はその時期と言えそうである。
   
(四) タンカーと鉄鉱石の中国の影響度の差異積能力不足に伴う船混状況

オイルショック後、一般炭が海上輸送に登場して石炭積出港の能力不足で長期滞船を齎したが、それ以来の中国の鉄鉱石の輸入急増により鉄鉱石積出港の能力不足で船混となった。 予想を超えて輸出量が急増したとは言え、船混はブームから3年程度経過すると港湾設備の拡張(手元にデータが無く追って調査予定)により緩和され、それによる市況への影響度は時間とともに薄まる。 今年はその時期と言えそうである。
1) 2006年中国の鉄鉱石輸入量が世界の約43%(326.3/761.9mt)、日本の2.4倍となっていることでドライマーケットは中国を中心に動いていると見て間違いない。
2)
タンカーでの中国の立場・役割は大きな差がある。 原油輸入量が日本より約1億トン少ない事からエネルギーの消費量が日欧米からほど遠い状態である。 これは石油需要増が将来の問題として残っている事を意味する。 当然ながら、船腹需要に就いてはケープサイズよりタンカーの方が需要拡大の余地が残っていると言えよう。
   
(五) 海運のリスクヘッジの変化

従来、海運のリスクヘッジは、所有船舶のT/C-OutかCOAの制約であった。 COAの場合、輸送用の船腹を市場から傭船する時、傭船者の立場となりマーケットを引き下げる作用を伴い結果として上下の振幅を減少させる。 処が、最近ではFFAへのヘッジが新興の船主を中心に多く見られ、それがスポット市場での存在感を強めている。 フリー船が少ないケープサイズで船主側が作為的に市況への影響を与える可能性があり得ることとなり、FFA主導と言えるマーケットが市場に現れている。
   
(六) 結びに変えて − 今年特に注目したい点況

オイルショック後、一般炭が海上輸送に登場して石炭積出港の能力不足で長期滞船を齎したが、それ以来の中国の鉄鉱石の輸入急増により鉄鉱石積出港の能力不足で船混となった。 予想を超えて輸出量が急増したとは言え、船混はブームから3年程度経過すると港湾設備の拡張(手元にデータが無く追って調査予定)により緩和され、それによる市況への影響度は時間とともに薄まる。 今年はその時期と言えそうである。
1) 1. 4,000万トンを超えた中国の鋼材の輸出動向である。 これは中国鉄鋼の過剰設備・過剰生産の結果であると言えるからである。 又、外貨準備高が1兆ドルを超えた中国の鋼材輸出はEU・北米との貿易摩擦の激化の問題である。  これらが今後の中国の粗鋼増産の勢いを止める作用をすることとなる可能性があるからである。
2)
2. 不安感を拭い切れない米国経済の動向、通貨の切上げが不可避な中国の動向、原油価格の動向等の海運のファンダメンタルに影響を与える要因である。
   

 

 

顕著となったエルニーニョと2007年マーケットに就いて 2007年1月掲載
   
(一)  戦後3度目穀物不作によるドライ市況への影響必至

1) エルニーニュが発生すると豪州が旱魃となり小麦不作となるが、今回は豪州の国土の1/3が旱魃で非常事態が宣言されるなど史上最悪となっている。
生産量は昨年の1,600万トン(推定)から60%強減の950万トンへ減少すると言われている。 輸出量(世界第3位)はSSY11月のReportでは昨年度の1,520万トから1,350万トンへ減量となっているが、減少幅は更に増えると予想される。    
豪州小麦の輸出先はアジア全域と中近東である。 この代替ソースは北米と欧州である。 何れも豪州よりも遠距離ソースからの輸入に頼らざるを得なくなる。 結果として、パナマックス以下の船型の船腹需要がかなり増えそうである。 但し、在庫量を減らすなどの対応もあり、どの程度の船腹需要増となるのか、何時の時点で海運市況へ影響が現れるのか新年の最初の課題となる。
2) 穀物に関して、過去5年間は輸入皆無であった印度が、大不作による小麦の輸入再開と言う新たな問題が発生した。 06/07穀物年度での小麦の輸入量は620万トンと予想されている。 印度の輸入増と近距離の豪州の小麦不作は船腹需要を加速度的に増やす可能性がある。
この原因がエルニーニュなのか、昨年の日本の猛暑の原因とし最新学説の印度のダイポールモードによる印度東岸から印度東岸から西太平洋の冷海水(エルニーニョにも合致する)によるものなのかは不明である。
3) 戦後穀物が海運市況に影響を与えたのは、1960年代のソ連による小麦の緊急輸入と1995年の中国のトウモロコシ不作による輸入国への転換の二回である。 この中国のトウモロコシ不作も1993年のエルニーニュの後遺症だと言えないこともない。 今回のエルニーニュが中国のトウモロコシの不作を齎すのかも注目される。
   
(二)  タンカーの運賃がWS50を切る事態となった

1) エルニーニョは目下次の様にタンカーマーケットの悪影響を与えている
第一は北米と日本の暖冬が予想通りとなったことである。 加え欧州(中欧で250年来の暖冬による雪不足でスキージャンプが中止)も暖冬傾向で需要減に拍車を掛けている。
第二は二年連続猛威を振るったカリブのハリケーンと東アジアの台風に備えて在庫を上積みしたにも拘らず、今年は発生せずこれが在庫を多く抱える事となった。これもエルニーニョの影響の一部と考えられない事も無い。
2) エルニーニョ以外では、原油価格の高騰がタンカーの船腹需要に影響を与えている
原油高騰傾向の長期化を予想し、2006年前半の在庫増を齎した事。
最も心配されることは原油高騰に伴う消費減である。経済産業省の石油統計速報によると、1-10/2006のガソリンの販売量が1974年の第一次オイルショックの翌年以来の前年割れとなる見込みとのこと。 この傾向は世界共通の傾向となる可能性がある。 各国の統計の発表が待たれる所である。
   
(三)  結びに替えて

1) ドライに関しては
中国向けの鉄鉱石への船腹需要の伸び率低下のマイナス要因と穀物輸送増のプラス要因の攻め合いとなると思われる。
前年のケープサイズ主導のマーケットとは違い、2007年はパナマックス船型以下が主導するマーケットとなりそうである。
2) タンカーに関しては
VLCCの運賃は中国の高度成長に伴う中国の輸入増と原油価格高騰に伴う欧米・日本を中心とした石油消費減との攻め合いとなる。 この帰趨は原油価格の動向が大きく左右すると思われる。 これが2007年の最重要注目点である。
厳冬が来れば、PC船のスポット運賃上昇となり、それが継続すると原油タンカーに波及するが、そのような事態となるのかも注目点である。